別に良いやと思える足りなさ具合
ドンキホーテに1缶78円の缶ビール(発泡酒)があった。やっすい。
「オルジュ(ORGE)」という名前。
まさに驚安だと思い買ってみると、ちょっとした仕掛けもあった。
ちょっと背が小さいのである。
350缶だと思いきや、実は330mlの缶ビールだった。
20mlの差。
許せない!
・・・とは思わない。78円の値段だし、味もまぁまずいわけではない。しかも酒。飲んでしまえば、正直350だろうが300だろうが別にいいのだ。大事なことじゃない。缶ビールをひとつ飲んでぷはぁだ。
「一缶」の単位、これが大事なのである。20の差を気にする人はいないだろう。
だからといって、「じゃあ缶の形にして100mLでもいいんだな」ということでもない。それはさすがに気づく。気づくか気づかないか。そして気づいても「そんなもんなら」と思える線引き。こういうのが結構、大事なのだ。
ビジネスにしろ、実生活の買い物にしろ、人生、コストダウンに苦しむことは多い。しなくてはならないコストダウンと向き合うのは「とかく人の世は住みにくい」ことの一側面だと思う。
こういうときに「別にいいや」と思える足りなさ具合を知っていると役に立つ。
ダイエットでも肉を何枚くらい減らすんだったら自分は平気だとか。
後輩に奢ってやりたいけど月末で金がないときは、ランチにすると気前よくいけるとか。
返信が面倒なとき、「ちょっとバタバタしていて」と一報入れておくと一日、二日くらい遅れても怒られないとか。
なんだかどこまでだったら怒られないかチキンレースしている情けない例ばかりだけど、辛い思いが少なくて済む。人間関係もギクシャクしない。とても重宝する。
人の欲望には小さい線引きがたくさんあって、そういうのを定規みたいに巧みに測れる人たちがいる社会はとっても滑らかである。同じ事をするにもこうも違うかというくらい、本当に快適にことが進む。
こういうのを塩梅がいい、という。
そんなわけで、やっすい黒ビールが気に入っている。味はまぁ、ね。